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大阪地方裁判所岸和田支部 昭和51年(わ)270号 判決 1977年3月29日

主文

被告人を懲役八月に処する。

理由

(罪となるべき事実)

起訴状記載の公訴事実と同一であるから、犯罪事実一覧表と共にこれを引用する。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

一、判示第一、第二の各事実は、いずれも道路交通法第六四条、第一一八条一項一号に(懲役刑選択)、

判示第三のうち、無免許運転は同法第六四条、第一一八条一項一号に、設備外乗車の点は同法第五五条一項、第一二〇条一項一〇号に(観念的競合につき、刑法第五四条一項前段、第一〇条により、無免許運転罪の刑で処断することとして懲役刑選択)、

判示第四、第五のうち、いずれも私文書偽造の点は刑法第一五九条一項に、同行使の点は同法第一六一条一項に(いずれも牽連犯につき、刑法第五四条一項後段、第一〇条により、偽造私文書行使罪の刑で処断する)、各該当

一、併合罪につき刑法第四五条前段、第四七条、第一〇条(判示第五の罪の刑に法定の加重)

一、訴訟費用につき刑事訴訟法第一八一条一項但書

よつて主文のとおり判決する。

起訴状記載の公訴事実

被告人は、

第一、昭和四九年二月七日から同年六月六日までの一二〇日間、公安委員会から運転免許の効力を停止されていたのに、別紙一覧表1ないし72記載のとおり、右停止期間中である同年二月一八日から同年六月六日までの間、前後七二回にわたり、泉大津市汐見町二一の九サコ運送株式会社倉庫事務所前付近道路等において、普通貨物自動車(泉一一う二三七三)をそれぞれ運転し

第二、公安委員会の運転免許を受けないで、別紙一覧表73ないし186記載のとおり、同年七月一七日から同五〇年一月二九日までの間前後一一四回にわたり、前記場所等において、前記自動車を運転し、

第三、昭和四九年一〇月六日午後一時一〇分ころ、公安委員会の運転免許を受けず、かつ、法定の除外事由がないのに、岸和田市春木若松町二二番三五号先道路において、乗車のために設備された場所以外の前記自動車荷台に川本未春ほか一名を乗車させて同車を運転し、

第四、前同日午後一時三五分ころ、同市春木若松町二二番三八号所在大阪府岸和田警察署春木派出所において、同所司法巡査谷中繁樹から、前記第三記載の設備外乗車事実について取調べを受けた際、公安委員会の運転免許を有する上鵜瀬安盛の氏名を詐称して自己の無免許運転行為を隠蔽しようと企て、同日同所において、行使の目的で、ほしいままに、右谷中巡査作成の交通事件原票(告知書番号(C)七二八三三三)中、道路交通法違反現認・認知報告書記載のとおり違反をしたことは相違ない旨印刷された「供述書(甲)署名欄にボールペンで「上鵜瀬安盛」と冒書して指印し、もつて他人の署名を冒用して事実証明に関する右上鵜瀬安盛作成名義の供述書一通の偽造を遂げたうえ、即時同所において、右谷中巡査に対し、これを真正に成立したもののように装つて提出して行使し、

第五、別紙一覧表125記載のとおり、昭和四九年一〇月二六日、同記載の車両を無免許運転中、同日午前一〇時五三分ころ福井県敦賀市阿曽モテル山水付近道路で道路の右側部分を通行したことから同所付近に駐車中の警ら用無線自動車内において、福井県敦賀警察署司法警察員巡査部長井上茂の取調べを受けることとなつた際、前記上鵜瀬安盛の氏名を詐称して自己の無免許運転行為を隠蔽しようと企て、同日午前一一時五分ころ、行使の目的で、ほしいままに、右井上部長作成の交通事件原票(番号福井No.七八一一九七)中、道路交通法違反現認認知報告書記載のとおり、違反したことは相違ない旨印刷された「供述書(甲)」署名欄にボールペンで「上鵜瀬安盛」と冒書して指印し、もつて他人の署名を冒用して事実証明に関する右上鵜瀬安盛作成の供述書一通の偽造を遂げたうえ、即時同所において、右井上部長に対し、これを真正に成立したもののように装つて提出して行使し

たものである。

(別紙)

無免許運転犯罪事実一覧表

回数 犯行年月日 運転車両 運転区間(距離)

1 昭和四九年二月一八日 普通貨物自動車泉一一う二三七三 泉大津市汐見町サコ運送株式会社から泉北郡忠岡町関西帆布株式会社を経て泉南市の梶本繊維会社ほか一〇四キロメートル

2 同年 二月一九日 右同 右同社から岸和田市上生町経由、堺市深井ほか約一一〇キロメートル

3 同年 二月二〇日 右同 右同社から同市春日町上田倉庫経由泉南市丸新繊維会社ほか約一四〇キロメートル

4 同年 二月二一日 右同 右同社から泉大津市浦田経由堺市深井山田熊染工場ほか約八四キロメートル

5 昭和四九年二月二二日 普通貨物自動車泉一一う二三七三 右同社から泉大津市旭町寺田ミシン会社経由大阪市東区本町大西衣料ほか約七二キロメートル

6 同年 二月二三日 右同 右同社を出発泉南市及び堺市原山台ほか約八〇キロメートル

7 同年 二月二五日 右同 泉大津市汐見町出発同市池浦町藤田繊維会社経由同市内一円約二〇キロメートル

8 同年 二月二六日 右同 右同町出発、堺市深井山田熊染工場ほか約三〇キロメートル

9 同年 二月二八日 右同 右同町から泉南市鳴滝ほか約一〇八キロメートル

10 同年 三月一日 右同 右同町から泉北郡忠岡町関西帆布株式会社経由京都伏見区往復約一五八キロメートル

11 同年 三月四日 右同 右同町出発泉南市鳴滝ほか約八二キロメートル

12 同年 三月五日 右同 右同約四二キロメートル

13 同年 三月八日 右同 泉大津市汐見町サコ運送株式会社から堺市深井清水町山田熊染工場ほか約七四キロメートル

14 同年 三月一一日 右同 右同会社から同市清水町経由泉南市信達ほか約五〇キロメートル

15 同年 三月一二日 右同 右同社から堺市まで往復約五〇キロメートル

16 昭和四九年三月一四日 普通貨物自動車泉一一う二三七三 右同社出発泉南市信達日鴻紡績会社ほか約一三〇キロメートル

17 同年 三月一五日 右同 右同約一〇〇キロメートル

18 同年 三月一八日 右同 前同、泉大津市汐見町サコ運送株式会社から岸和田市内ほか約八キロメートル

19 同年 三月一九日 右同 泉大津市汐見町出発岡山県玉島市往復約四九二キロメートル

20 同年 三月二〇日 右同 右同所出発松原市経由奈良市往復約九四キロメートル

21 同年 三月二二日 右同 右同所出発泉南郡阪南町松枝石綿会社ほか約五〇キロメートル

22 同年 三月二三日 右同 右同所から岸和田市内ほか約四三キロメートル

23 同年 三月二五日 右同 右同所から泉南市ほか約五〇キロメートル

24 同年 三月二七日 右同 右同約六九キロメートル

25 同年 三月二八日 右同 泉大津市汐見町サコ運送株式会社を出発、泉北郡忠岡町ほか府下一円約四五キロメートル

26 同年 三月二九日 右同 右同社から福岡県下まで往復約一、二〇〇キロメートル

27 昭和四九年四月一日 普通貨物自動車泉一一う二三七三 右同社から泉北郡忠岡町経由泉南市まで往復ほか約五〇キロメートル

28 同年 四月二日 右同 右同約四五キロメートル

29 同年 四月三日 右同 右同社出発泉南郡阪南町ほか約四〇キロメートル

30 同年 四月四日 右同 右同社から徳島県下往復約一三五キロメートル

(31以下省略。)

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